ストリートアートの深淵

もうストリートアートってよーわからん。

 

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友人の結婚式参列のために北海道から神奈川の実家に帰省。
すぐに帰るのはもったいないから1日だけ余裕を持って飛行機の便をとった。

大好きなネペンテスに、インスタでチェックして欲しかったベストを買いに行ったら、エンジニアドガーメンツ青山店でないと売ってないということで、すぐに移動。

店はすぐ近くなので、店舗の位置関係をGPSで検索していつも歩かない道を歩いていると、目に入ってきたのがNEW YORK GALLERY

 

そこで出会ったのがMr.Brainwash(MBW)という存在。

アート界隈では「Andy Warholの再来」なんて言われていたりするみたいだが、彼はストリートアートの生ける伝説であるBanksyと密接な関係性を持っていた。

 

LAで古着店のオーナーであったThierry Guetta(ティエリー・グエッタ)は、ある理由から四六時中カメラを回し続けているカメラオタクだった。親戚がストリートアーティストだったことをキッカケに、その作品制作の後追いをし始め、いつしか彼はストリートアーティストの舞台裏を撮影するドキュメンタリーカメラマンとしての立ち位置を深めていく。
その中で、彼は当然の成り行きでストリートアーティストの頂点を極めるBanksyに興味をもち始め、紆余曲折経てついに、Banksyと出会うことになる。そして、通常では彼の舞台裏撮影などありえない話だが、BanksyはThierry(のちのMBW)に気を許し、撮影を認め、ストリートアートのドキュメンタリーを作ればいいじゃないかとアドバイスされるまでの関係になった。

しかし彼は映画監督としてのセンスなど皆無だった。試しに膨大な記録を編集してつくった作品はとても長時間見られたものではなく、見るに耐えない超駄作であった。Banksyはそれを見かねて、逆にカメラオタクのThierryを主役にした映画を監督した。

 

その映画が『EXIT THROUGH THE GIFT SHOP』である。

 

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のちにBanksyはThierryにお前もアートやってみたらいいんじゃね?と言われたことで火が付き(Banksyに認められたと勘違いし)、全財産を注ぎ込んで個展を開いた。
アーティストが売れるためには基本的に何らかのキャリアが必要で、次第に世の中に認められ浸透していくるような側面があるが、彼はBanksyという超大物を味方につけていたため、それまでアートなどやってきたことはなく、制作方法も今まで撮影してきたアーティストの表面的なマネごとでしかないのに、人生初の個展で大盛況。コレクターやセレブなど、多くの著名人が訪れる一大センセーショナルを巻き起こしたのだ。

 

確かに作品を見ると「いいね!」と思うものはいくつかある。ただ、それは有名アーティストの見慣れた作品をパクっているからなのか、本当の意味で彼に才能があるからなのかわからない。

とりあえず私はNEW YORK GALLERLYに置いてあった、Jimi Hendrixの特徴的なボンバーヘアをディスクで表現した作品が非常に好きだった。価格を見るとそれはなんと約¥8,000,000もする代物であった。とても手が出ない。いつかあーいう絵画をポンと買えるようになりたいという思いと共に、そのギャラリーをあとにするしかなかった。

 

....余談だが、そこで出会ったIKONICKというアートグループの作品がポップアートを手軽に自宅に持ち込めるのでネットから2点発注して購入した。

Modern/Pop Culture Canvas Wall Art Andy Warhol "Soup Of The Day (Pastel)" by IKONICK – Ikonick

Vintage Tropical Rain Travel Wall Decor Ideas Framed Artwork Canvas – Ikonick

 

 

 

ストリートアートに触れた流れで、一昔前に話題をさらっていたChim↑Pomが現在どうなっているかを追ってみた。

 

chimpom.theshop.jp

 

 

以前見たときはワタリウム美術館で展覧会やってたり、書籍で取り上げられたり、ネズミをピカチュウにしたりって感じだった。

今では自分たちのショップをもって「雨の焼酎割り」やら「アカ消し」とか売ってる。しかもそれが意外と高額で売れてたりする。もう、アートってよくわからん。

エディット・ピアフ

愛の讃歌(Hymne à l'amour)といえば、日本でも美輪明宏などの大物歌手がカバーしているため、メロディくらい聞き覚えがあるだろう。

私のエディット・ピアフとのファーストタッチは天才クリストファーノーラン監督の作品『インセプション』で劇中でキーとなる音楽として採用されたときからだった。Non, je ne regrette rien(水に流して)が節目節目で流れてくるのだが、勝手に心の中に入ってくる彼女の歌声に心を奪われて、それから一時期エディット・ピアフしか聞いていなかった時期がある。

 

 

youtu.be

 

 

先日アップしたジャニス・ジョプリンもそうだが、最近、いろいろなアーティストや芸術家のドキュメンタリーを見ることにハマっている。ワインそのものではなく、そのワインができるまでの背景を知りたいのと同様に、アーティストが生み出した作品ではなく、その人の生き方、考え方も含めて、トータルで理解したいから。

 

幼少時代は貧しい家庭で劣悪な環境で育てられ、成功してからも、恋人であったプロボクサーのマルセル・セルダンを飛行機事故で亡くすなど、その人生は彼女の代表曲『バラ色の人生(La Vie en Rose)』のようなものではなかった。凡人が彼女と同じ人生を生きてきたとしたら、それは灰色の人生となるであろう。

 

しかし、彼女の歌曲の特徴である哀愁漂いつつも壮大なメロディと、そこに紡がれる美しい詩、それに圧倒的な歌唱力からは、過去の辛い出来事など、一切合切の全てを包み込むが感じられる。

 

ドキュメンタリーの最後、エディット・ピアフが海岸で縫い物をしているとき、記者がやってきて、いくつか質問をし、それに答えるというシーンがある。記者のインタビューに対して穏やかに答えるピアフ。その中の最後の質問の答えがとても印象的だった。

 

記者「女性へのアドバイスをいただけますか?」

 ー ピアフ「愛しなさい」

記者「若い娘には?」

 ー ピアフ「愛しなさい」

記者「子供には?」

 ー ピアフ「愛しなさい」

 

この愛はどこから生まれてくるのだろうか。

初めてエディット・ピアフを聞いたとき感じた、震えるほどの豊かな表現は、こんな背景があったのかと、ただただ感激してしまった。

マルケス・デ・リスカル

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DOCリオハ、マルケス・デ・リスカルの赤ワイン。

http://www.sapporobeer.jp/product/wine/K270/

 

スペインワインといえばリオハ。
スペインバルで働き始めて、もうすぐ一年半が経つだろうか。置いてあるワインは全てスペインワインで、このリスカルのティント・レゼルバも店内で飲んだことはある。

ある日、友人と買い物に出かけて、ふと札幌のワインショップの一つ、グランヴァンセラーに立ち寄ってみた。その日の晩は友人を家に呼んで飲むということだったので、何かワインを仕入れようということで、やっぱりスペインワインを楽しみたいと思って、スペインワインの一画へ移動。すると棚には私の働くスペインバルでも見たことのあるワインが何本か置いてあった。店内のワインはほとんど飲んだことがあるけども、店内で飲む時は純粋に楽しめないし、仕事として飲んでるから家で飲むのと味わいの感覚って変わりそうだなあということで、気になっていたマルケス・デ・リスカルを購入。

 

その日の呑みはしっかり食材を調理して酒と会話を楽しむという趣旨だったため、帰るなり、食事の準備をスタート。それと同時に、私は買ってきた赤を抜栓し、ワインスタート。おつまみはまだ出来上がっていないので、チーズをあてにして、楽しむ。

丁寧に空気に触れさせながら細く注いで、グラスに溜まった深紅の液体を口に含んでみる。飲み比べた感想は、と思ったけど、そういえば大前提、店内で飲んだ味を覚えていないぞ。これじゃ比較できないではないか。

 

口の中でワインを転がしてみる。ただ、甘い。バニラアイスのような甘ったるい印象がある。だけど、タンニンをしっかり感じてスパイシーな雰囲気もある。
私はこれを香水で例えたい。数多ある香水ブランドの中でも、そのブランドが表現したい中核となるニュアンスというものがあると思っているが、それをこのワインと比較した時、ジバンシーとかブルガリのようなクリーンな香水よりは、トムフォードとかジョーマローンといった、少し複雑さが入り混じって香辛料的なニュアンスを感じさせるものに近いのではないかと思った。

エビとトマトのペーストとバゲットを軽いつまみ(写真忘れた)として作ったが、軽くまぶした胡椒とバジルの風味がトマトの酸味と絡まって、このティント・レゼルバと好相性だった気がしている。

これは次回も作りたい一品となった。

 

 

補足であるが、マルケス・デ・リスカルは、そのワイナリーに近接してホテルも経営しているらしい。その名もホテル マルケス・デ・リスカル

そのままのネーミングだから非常に覚えやすい。しかもこのホテルの設計は、建築界の鬼才と言われるフランクゲーリーだというではないか。 

 

これは一度泊まってみたいホテルである。

ジャニス

ジャニス・ジョプリンは誰もが認める伝説の女性シンガー。
音楽史上最高の女性シンガーだという人も多い。

「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」においては錚々たるメンバーの中で28番目に名前を連ねている。

 

初めて彼女を知ったのは山の世界。

私は2010年代後半に山梨県にある山小屋の小屋番として山の中に住んでいたことがあるのだが、教えてくれたのはその山小屋の先輩だった。
ヒッピーカルチャーに影響を受けたその人は、女性のような長髪にヒゲをたんまり伸ばし、なんとなくホームレスに見えなくはないが、フリークライミングで鍛えられた肉体に細長い手足が魅力的な男。一般社会では大工として生計を立て、タバコと酒と女を愛する自由人だった。

山の中に暮らしていれば、常人でも食用できるキノコと、食べたら即死するキノコの見分けは次第についてくる。しかし彼は食用だけでは飽き足らず、トリップできるキノコにまで手を伸ばしたくなるタイプの典型的なヒッピー。彼の現役時代には、これはどうだろうと好奇心で非食用のキノコを食べたら、激しい下痢と頭痛と悪寒に襲われた経験があるらしい。それで40度超えの高熱を出しながら山小屋を回していたというから狂気の沙汰。

その山は季節になると松茸が取れる。東京で生活している彼は、時期になると降水量と気温の変化をニュースでチェックし、松茸目当てに山に入る。お得意のクライミング術で、一般人では落ちて死ぬレベルの場所にまで足を伸ばせるため、普通の人では採りきれない量を山小屋に持ち帰ってくるから、いつもは肩身が狭そうにしているが、その時に限っては、毎年彼はスーパースターのように扱われる。

そして疲れたーと言って荷ほどきしていると、ジャニスをかけてくれと急かしてくる。

そんな彼のお気に入りは Me and Bobby McGee 

 

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一度かけると彼は止まらない。
いいねー、やっぱりいいねー。ってことで何回も何回もリピート。

おかげさまで私もすっかりジャニス・ジョプリンのファンとなった。
それまでメランコリックなロックミュージックが好きで、最初は彼女の音楽を聞いても全く良さがわからなかったけれども、歌声を聞いていたらどっぷりどハマり。

ブサイクもずっと眺めていると好きになってくるっていう心理学の実験があるけど、音楽にもどうやらそれは当てはまりそうである。

 

 

www.netflix.com

 

NETFLIXで何か面白い映画ないかなと探していたらたまたま彼女のドキュメンタリーがレコメンドされていたので見てみた。

内容的なものは他のサイトで詳しく紹介されているので省くけども、レジェンドとして認められている彼女の歌声と感性が、圧倒的な劣等感に由来するものだと知った時は衝撃であった。

27歳で亡くなった惜しい人の人生録。ロックが好きな方であれば、103分に凝縮された彼女の物語を見ておいて損はないと思う。

 

 

熱くなれ

最近、妙にアタマの中でリピートされる曲。

 

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子供の頃に車の中でめちゃくちゃ聞いた歌手、カーペンターズ、アバ、松任谷由実竹内まりや大黒摩季。完全にこれは母親の影響。

「熱くなれ」については、小学生のころ間接的に聞いてただけだったから歌詞なんて気にしたことなかったけど、いろいろ人生を学んできたときに、ふと、これが流れてきて激しく好きになった。



これこそはと信じられる何かを信じていたけれど、

正義が社会を救えないなら

愛しかないでしょう

 

愛ですよ、愛。愛。愛。 

こういう歌詞って多くの歌でメッセージになっているけれど、ノリのいいメロディと彼女の情熱的な歌声に乗って耳に入ってきたときにビンビン伝わってくる。

 

私の気分上げたいときの曲は、これです。

BGMで気分転換

葡萄と音楽

このブログのタイトルの葡萄は葡萄酒(ワイン)を指している。
音楽はそのまま音楽のことを指している。

ブログに、ワインとは別にもう一つのテーマとして音楽を選んだのは、単純に音楽が好きだから。というのももちろんあるが、気分を盛り上げる一つの要素としてBGMの存在が大きいと感じたから。ワインは気分をアルコールによって内面から盛り上げてくれるのに対して、音楽は環境に合わせてセレクトすることによって、外面から気分を盛り上げてくれる。自分がBGMの選曲(DJ的なこと)に興味を持ちはじめたのは、友人との小旅行でBGM係としてその場に合う音を模索していたことによる。そして、もっといろんな場面に最適な音楽を探求したいと感じたからである。

 


北海道は白老にコテージを借りて、友人たちと二泊三日の旅行をしていた。札幌から1〜2時間の道中では車内で会話の盛り上がりも必要だけど、気を紛らわせられるBGMも必要。最大5人乗りの車に満席の車内、後部座席の左側に座っていた私はBGMもかけ始めた。

最初は山下達郎。「青い水平線を いま駆け抜けてく♪」私の大好きなサウンドが流れ始めた。私はノリノリ。しかし車内は沈黙。それも当然。何故ならば私の他に乗車している4人は20代盛りの女性なのだから。

ということで最近発見したグラミー賞受賞歌手、グレゴリー・ポーターの名曲リキッドスピリットのリミックスをかけてみたら、隣がノリはじめた。


Clap your hands now !!

 

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そうこうしているうちに、ぎゅうぎゅう詰めの車は白老のコテージに到着。
到着時間が夕方近かったこともあり、着くなりいきなり夕食の準備に取り掛かる。キッチンは広いが、夕食の準備にしてはスタッフの数が完全にキャパオーバー。要するに私はまたもやDJ担当となる。そしてとりあえずパロヴ・ステラーのバスカブラザー。静かにテンションが盛り上がっていく空気感が最高。

 


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そして夜、コテージには豪勢にも天然温泉がついている。しかもめちゃくちゃ広い。10人は入れる大きさ。熱々の風呂から立ち上がる蒸気が幻想的な夜の温泉。長時間湯に浸かっているから身体が熱くなり、外の空気を入れようと窓を開けたら、そこはこの世からあの世へと次第に切り替わっていった。温まった蒸気が氷点下の外気に一気に冷やされて、温泉内には濃厚な湯気が立ち込めている。隣にいる人ですら輪郭しかわからない、顔の判別ができないくらいの圧倒的な湯気。シャワーの上に灯る暖熱灯はさながら朧月。母親がくれたトビアス・ヴィルデンのCD音源がパッと頭に浮かんだ。リビングからスピーカーを運び込んで流した途端、空間が引き締まった。

 

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キッカケはローヌワイン

ワインと音楽が好きだからそのブログを書き始めます。


書くことで思考が整理されます。

書くことで足らない知識を補おうとします。

書くことでそれらは自分のものとして定着します。

 

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私がワインを好きになったキッカケはローヌワイン。
南フランスのローヌ川流域に広がるAOCコート・デュ・ローヌ。同じ流域でも、北部と南部で特徴が異なり、日照量や土壌、そこから産まれる品種によって、様々な性格のワインがつくられる。
ワインって、そもそも葡萄を絞った果汁が発酵してできた飲み物。メソポタミア文明があった頃からつくられていたということも言われているが、基本的な醸造方法は変わっていないであろう。その古き時代から、毎年毎年、葡萄を収穫しては搾汁してワインにして保存してきた。祝祭の日に飲む特別な存在として扱われることもあれば、清潔な水が確保できない地域では日常的な水の代替品となることもあった。

私がワインを好きになったキッカケはローヌワイン。
私は山小屋に勤めていた期間が約三年間あり、そこではウィスキーをたくさん飲んできた。始めのうちはウィスキーという見慣れない茶色い液体に口がついていけず、味の違いが全くわからなかったが、登山者が担ぎ上げてくる様々なウィスキーを味わわせてもらうことによって、多少なりとも微差がわかるようになってきた。
ワインは歴史が古く、今では色々な国や地域でつくられているアルコール飲料。日本の世間一般には、ワインはお金持ちが嗜む趣味の一つのような観念が蔓延している。自分もある種その世間一般の一人だったため、ワインの知識は皆無に近い。ワインには色々な味があり、それこそウィスキーのように飲み慣れないものであるから赤ワインと一口に言えど、その違いがわからない。

私がワインを好きになったキッカケはローヌワイン。
一つの物事を知るためには、多角的な視点で捉えてみることも大事だけれど、一局集中的に比較してみることも大事だと常日頃から思っている。漠然とした、あてどもなく広がるワインの世界に足を踏み入れるにあたって、たまたまワインショップで手に取ったローヌワインが私を導いてくれた。まろやかだが果実の凝縮感が強く、しなやかなタンニンの口ざわりが、それまで飲んでいた格安ワインとは異なり、すんなり身体が受け入れてくれた。これだったら自分でもワインの世界を楽しめそうだ、ということで、手始めにローヌワインを深掘りしていくことにした。

私がワインを好きになったキッカケはローヌワイン。
ローヌワインをキッカケとして、ワインの醸造方法などをとりあえず調べてみた。するとわかったことは、沸点の違いを利用して抽出するウィスキーや、原料に加える酵母によって味わいが変わる日本酒などとは違い、ワインは果実の出来がそのままダイレクトに印象を左右するということ。島暮らしや山暮らしをしていたことで元々自然に関して強い興味を抱いていた私は、そのワインという純粋な産物のナチュラルさに衝撃を受け、味が好きという方向性よりは、その成り立ちから興味を持つようになった。

そんなこんなで、ワインの知識を深めていこうと、元々ある知識をシェアする訳ではなく、自分の深めていきたい趣味を多くの人と共有できたらという趣旨でこのブログを開設した。